2024/1/1 元旦に発生した能登半島地震。
地震当日は新潟で被災・避難し、当サイトで日本酒や酒造について発信している私が能登半島地震での酒造の被害と復興の現状について徹底調査したので解説します。
現状を把握した上で、能登半島の酒蔵の復興にご理解・ご支援いただけましたら幸いです。
能登の酒造
2024/1/1時点で能登半島の酒造は16蔵あります。
日本三大杜氏の1つ能登杜氏が酒造りを行い、酒造りの歴史と伝統が根付いた土地です。
珠洲市
鳳珠郡能登町
輪島市
鹿島群中能登町
羽咋市
能登の酒蔵の被害
奥能登に絞ると、全壊5社半壊・一部半壊が6社と全酒蔵が被害を受けています。
寒造りと呼ばれるように冬に酒造りを行う酒造が多い中で、1/1の被災は酒造としては最悪のタイミングでした。
「末廣」を造る中島酒造店
中島酒造店は2007年に震度6強の地震で全壊しましたが、その後なんとか復興しました。
奮闘する父の姿を見て蔵を継いだ中島遼太郎さん。
そして、、2024年に再び蔵が全壊することに、、、
宗玄酒造
松波酒造
被災直後に松波酒造の蔵元・金七聖子さんのX(twitter)アカウントで投稿された映像です。
1千万以上の再生がされていて、松波酒造だけでなく町全体の木造家屋が倒壊しているのが分かります。
金七聖子さんの悲痛な叫びがとても切ないです。
— 金七聖子 @松波酒造-大江山- (@seiko7) January 1, 2024
鶴野酒造
鶴野酒造のInstagramアカウントに投稿された、倒壊した酒造です。
完全に潰れてしまっており言葉がでません・・・
鶴野酒造の被害状況
白藤酒造
白藤酒造のInstagramアカウントに倒壊した酒造が投稿されました。
櫻田酒造
能登の酒蔵の復興と現状
着実に能登の酒造は復興しています。
いくつかの酒造にフォーカスして復興状況をご紹介します。
2024/2/24の最新状況
・松波酒造 間借り醸造
・櫻田酒造 間借り醸造
・白藤酒造 代理醸造
・鶴野酒造 再開を模索中
・日吉酒造 間借り醸造
・宗玄酒造 醸造へ前進
・数馬酒造 再開を模索中
・中島酒蔵 再開を模索中
「大江山」を造る松波酒造
石川県小松市に蔵をかまえる加越酒造にて間借り醸造することになりました。
当主のSNSアカウントでの近況報告
当主の”金七聖子”氏のX(旧Twitter)アカウントでの2024年2月の醸造の様子
先程出麹しました。
— 金七聖子 @松波酒造-大江山- (@seiko7) February 23, 2024
今週は麹造りに携われた貴重な2月。
三月末に搾り、四月上旬に出荷すべく商品内容などを計画してます。
新商品としてリリースし、名前も蔵に泊まってたおかげで思い付き決まりました😃 #松波酒造 #加越 pic.twitter.com/8OYpTTDBx4
「大慶」「初桜」を造る櫻田酒造
石川県白山市の車多酒造にて間借り醸造することになりました。
間借り醸造先のSNSでの報告
車多酒造のInstagramアカウントでの報告です。
「奥能登の白菊」を造る白藤酒造
東日本大震災で同じような境遇になった福島の鈴木酒造店までもろみを運び、搾りからその後の瓶詰までの工程を代理で行いました。
代理醸造についてのネットニュース記事
2024/2/1 能登地震1カ月 輪島の酒造りつなぐ 福島県の蔵人、もろみ搬出 白藤酒造店 同窓生の支援に感謝
「金瓢白駒」を造る日吉酒造
石川県小松市に蔵をかまえる加越酒造で代理醸造することになりました。
代理醸造についてのネットニュース記事
【石川】“奇跡の酒米” 希望の酒に 輪島・日吉酒造店 小松の酒蔵設備借り製造へ
「宗玄」を造る宗玄酒造
宗玄酒造は1/29に機材が破損している中、蔵に残っていたお酒を手作業で瓶詰し720mlx2本を500セット限定で販売開始する事を告知しました。
お待たせいたしました。宗玄・復興への第一歩 [袋吊り、純米山田錦無濾過生原酒、一緒に『がんばれ!珠洲 宗玄』復興の酒]の販売を令和6年2月1日より始めます。人員不足などのためご注文は弊社オンラインストアにてのみ承ります。ご理解頂ければ幸いです。#令和6年能登半島地震 #復興酒 #宗玄 pic.twitter.com/m7oUw3Hg8J
— 宗玄酒造株式会社 (@sogenshuzou) January 29, 2024
この限定酒は数日で即完。
日頃から宗玄を愛するファンや宗玄酒造を支援しようとする人々の想いが伝わってきます。
おかげさまで[一緒に『がんばれ!珠洲 宗玄』復興の酒]は完売いたしました。皆様のご厚意感謝いたします。 今後 1.8L 瓶で同じ復興の酒を再度限定数ですが販売予定です。 日程が 決まり次第お知らせいたします。
— 宗玄酒造株式会社 (@sogenshuzou) February 1, 2024
「竹葉」を造る数馬酒造
能登のお酒を宮城の酒造で瓶詰
数馬酒造内のタンクに奇跡的に残ったもろみを1/17にタンカーで宮城県の酒造「新澤醸造店」まで約1000L運び、新澤醸造店が瓶詰め作業を代行しました。
更に感動する事は、帰りのタンカーには被災地の事を想い水が入っていました。
東日本大震災を経験した新澤醸造店だからこそ、被災地の酒造に心から寄り添った支援ができるのだと胸がいっぱいになります。
数馬酒造ホームページでのレポートはこちら
新澤醸造店のX(Twitter)アカウントでの投稿
渋滞など、ご迷惑かからないように深夜移動にしましたが、早朝から皆さま総出でお出迎えいただき、逆に我々が元気をいただきました😭能登地震の復旧もろみは責任を持って瓶詰めしてお返しいたします https://t.co/80VQlVElHp pic.twitter.com/NQvaK7G4dO
— 【究極の食中酒】伯楽星/あたごのまつ醸造元 (@niizawabrewery) January 18, 2024
能登の酒蔵への支援
自治体や企業が様々な支援がありますが
能登の酒造への支援は、石川県酒造組合連合会が行っている義援金への支援が使用用途がはっきりしているため望ましいです。
石川県酒造組合連合会の義援金についてはこちら。
能登の酒を止めるな
クラウドファンディングで行われた能登の酒を止めるな!被災日本酒蔵共同醸造支援プロジェクトでは「数馬酒造 / 鶴野酒造店 / 白藤酒造店 / 日吉酒造店/ 松波酒造」の5酒造が共同で立ち上げたプロジェクトです。
2024/2/6の時点で目標金額100万円に対して2,500万円以上のお金が支援されています。
まとめ
2024/1/1に発生した能登半島地震での酒造の被害と復興の現状を解説しました。
日本三大杜氏の1つ能登杜氏が酒造りを行い、酒造りの歴史と伝統が根付いた土地です。
冬に酒造りを行う酒造にとって酒造り真っ最中の1/1という最悪のタイミングで発生した地震によって、生産したお酒が蔵の下敷きになってしまいました。
全壊した蔵は数億円単位での損害で、再開の目途が立っていない蔵もあります。
義援金、寄付、クラウドファンディングなど様々な場所で支援が行われています。
皆さまの支援が実を結び、1つでも多くの蔵が復興する事を願っています。
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