日本酒のランク付けのルールとは?等級別/特定名称酒

同じ酒蔵が造る日本酒の中には
特別○○、純米〇〇、大吟醸、本醸造、など様々な種類がありますよね!
名称からどんな作られ方をしているのか予想するのは難しいです・・・

違いが分からずに居酒屋で日本酒を注文していませんか?
私も数年間知らずにイメージで注文していましたが
お酒の分類制度を知ってからはメニューを見るのがとても楽しくなりました♪

酒太郎

・新潟生まれ(1994)。
・日本酒だけが体質に合った新潟人。
・日本酒検定1級保有 (SSI)。
・「この日本酒を飲みたい」を届けるために運営中。
・「とりあえず日本酒で」を当たり前に。

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この記事の内容・目次
日本酒のランク付けの歴史(等級・級別制度)
特定名称酒制度 ※現在のルール
まとめ

この記事を読んで日本酒の種類の違いを理解していただければ
居酒屋でメニュー表を見ることが楽しくなりますよ♪
(同席の人にうんちくを語りすぎると引かれちゃうかもしれません・・)

醸造アルコールの有無や精米歩合などで名称が変わるので
ぜひ最後まで記事を読んで理解してみてください♪

日本酒のランク付けの歴史 等級・級別制度とは?

日本酒の級別制度は1940年(昭和15年)~1992年(平成4年)まで存在した
酒税法上や一般的な分類体系です。

分類は多少の変化はありましたが戦後の級別制度は最終的には
「特級」「一級」「二級」の三段階に落ち着きました。

この分類は、国税庁の酒類審議会による官能検査によって行われていました。
酒蔵は特級や一級として販売する予定のお酒のサンプルを提出し
学識経験者などで構成される級別審査を受けるという仕組みです。

審査の方法は、きき酒により、お酒の味、色、香りをチェックします。
具体的な数値で客観的に審査すると言うよりは、人による主観的な審査だったんです。

各等級の基準
特級:品質が優良なもの
一級:品質が佳良なもの
二級:特級および一級に該当しないもの、または審査を受けていないもの

かなりアバウトな基準ですよね(笑)
国税庁管轄での審査、既得利権など怪しいこともありそうです。

「特定名称酒」制度

現在は客観的な指標による分類をするために
「特定名称酒」制度が採用されています。

ルール

特定名称
醸造アルコール
吟醸造り
精米歩合
純米大吟醸不使用50%以下
純米吟醸不使用60%以下
特別純米不使用-60%以下 または 特別な製造方法
純米不使用--
大吟醸使用50%以下
吟醸使用60%以下
特別本醸造使用-60%以下 または 特別な製造方法
本醸造使用-70%以下

詳しい解説

上の表からも分かる通りルールは3つです。
「醸造アルコールの使用有無」「吟醸造りか否か」「精米歩合」です。

純米

醸造アルコール“を添加しているお酒:純米がつく
醸造アルコール“を添加していないお酒:純米がつかない

純米がつくお酒

名称に純米がつくお酒は”醸造アルコール“を使用していません。
原材料はお米・麹・水のみで、麹(こうじ)と酵母の働きでお米の糖分がアルコールに変えられてお酒になります。
一般的にはお米の深いコクや旨みを感じる甘口濃厚な味になります。

純米がつかない酒

醸造アルコールと聞くと悪いイメージを持つかもしれませんが
化学薬品系ではなく植物由来の主にサトウキビを原料としたアルコールです。

醸造アルコールを使う味のメリットとしてはお米の雑味を抑えて飲み口がスッキリ・軽快・爽やかになることです。

吟醸

“吟醸造りの”お酒:吟醸がつく
“吟醸造りではない”お酒:吟醸がつかない

吟醸がつくお酒

名称に吟醸がつくお酒は吟醸造りで作られたお酒です。
吟醸造りとは一般的には
「10度前後の低温で1ヶ月近い時間をかけて発酵させる製法」と言われています。

低温で発酵することで香り成分がもろみに閉じ込められ
吟醸酒特有のフルーティーな芳香(吟香)を有するようになります。

吟醸がつかないお酒

名称に吟醸がつかないお酒は吟醸造りで作られていないお酒です。
つまり、高温で短期間の発酵で造られたお酒で
一般的には香りは控えめでスッキリとした辛口の味わいになります。

精米歩合

・「50%以下」は大吟醸
・「60%以下」は吟醸

精米歩合はお米の削り具合です。
パーセント(%)で表される値は削って残った割合を表しています。
「80%」ならお米の表面を20%しか削っていないお酒
「20%」ならお米の表面を80%も削っているお酒
ということなります。

なぜお米を削るのか?というと
お米の表面はたんぱく質・脂質・でんぷんなど栄養分が多いですが
日本酒においてはそれが雑味として扱われ
一般的には表面(雑味)を削るほど透明感のある華やかな味わいになります。

特殊な種類

特別純米

・醸造アルコールを不使用
・吟醸造りではない
・精米歩合が60%以下 または 特別な製造方法(※1)

特別な製造方法(※1)とは
決まりがなく、蔵元が特別だと判断したら特別になります。
ただしラベルに特別な原料や製造方法を表示しないといけません。

本醸造

・醸造アルコールを使用
・吟醸造りではない
・精米歩合が70%以下

まとめ

・戦後から1992年ころまでは国税庁の「級別制度」と呼ばれる日本酒を「特級」「一級」「二級」に分類する制度でランク付けしていた
・級別制度は数値を用いた客観的な審査ではなく、審査員による主観的に審査されていました
・現在は「特定名称酒制度」と呼ばれる醸造アルコールの使用有無・酒造方法・精米歩合などで吟醸や純米などに区分されてます。

参考情報

[1]国税庁「清酒の製法品質表示基準」の概要

[2]「清酒の級別審査の由来」奥田教広

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